No25. 生成AIの炎上
AI活用

生成AIの炎上事例5選|企業が注意すべき炎上の回避方法・リスク管理

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公開 2026-09-16

生成AIをマーケティングに活用している企業や店舗は多いです。ただし、使い方や説明不足によって炎上につながることもあり、2024年以降企業、自治体を問わず悪い意味で話題になることが増えています。

今回は生成AIの使用が炎上につながってしまった事例を紹介します。AI活用を推進する企業は、公開前にどのような対応をすべきか見ていきましょう。

企業の生成AI関連での炎上事例

ここからは直近を中心に、企業が生成AIで炎上してしまった事例を5つほどご紹介します。

サクラクレパス|画材メーカーの販促ポスター

老舗文具メーカーのサクラクレパス社が、2025年12月5日から8日にスペイン・バルセロナで開催された漫画イベント「Manga Barcelona」で展示した販促ポスターについて、生成AIで制作していたことを認め、謝罪しました。

SNSでは、描かれた手の指が4本しかないこと、商品やロゴのデザインが実物と異なることが指摘されました。同社は12月11日、販売子会社が生成AIを使って制作したものだと確認したうえで、「グループ会社内におけるデザインチェックのプロセスが、十分ではありませんでした」と説明し、ポスターの撤去と再発防止策を表明しています。

味の素「ほんだし」|実写をAIで加工した投稿

味の素が運営するレシピサイト「味の素パーク」の公式Xアカウントが、2026年8月14日に「ほんだし」を使っためんつゆのレシピを画像付きで投稿しました。

画像に写った商品パッケージの文字が崩れており、「HONDASHI」が「MONDASHI」になっている点などが指摘されて批判が集まります。同社は8月16日に謝罪し、実写の写真をAIで明るさや背景の変更などを行った結果、文字やラベルが崩れてしまったと説明しました。この投稿は約1300万回閲覧されています。

この事例は、他の4件と生成AIの活用方法が違います。画像をゼロから生成したのではなく、既にある写真を加工しただけで起きているからです。生成AIで作品を作るつもりがなくても、画像編集ツールのAI機能を使えば同じことが起こります。

サービスエリアの飲食店|メニューの掲載写真

2026年8月、サービスエリアの飲食店がメニュー写真を生成AIで作成したところ、「食欲が削られる」とXで指摘され、物議を醸しました。

いぶすき菜の花マラソン大会|イベントのポスター

鹿児島県指宿市で2027年に開催予定の「いぶすき菜の花マラソン大会」のポスターを2026年7月に公開しました。

9月7日ごろ、ポスターに描かれた菜の花が実物と異なることなどから、生成AIを使ったのではないかとの指摘がSNSで広がりました。公式サイトでは「イラストレーター」が制作したと紹介されたため、説明との食い違いを疑問視する声も上がりました。

大会事務局は9月8日、ポスターの制作過程で生成AIを活用していたことを公表しました。制作者の表記も「イラストレーター」から「グラフィックデザイナー」に訂正しています。菜の花が実物と異なる形で描かれていた点については、制作・校正段階で確認不足だったと説明しました。
ポスターは変更せず、引き続き使用する方針です。

出典:第44回いぶすき菜の花マラソンポスターデザインについて

レベルファイブ|オンライン発表会の映像

ゲーム開発会社のレベルファイブ社が、2026年9月10日のオンライン発表会でAI生成映像を多用した演出を行い、「不自然」「発表内容よりAIが気になる」といった批判を受けました。日野晃博社長は9月12日、発表会の映像に生成AIを使用したことを認め、視聴者に謝罪しました。

一方、シナリオやキャラクターデザイン、基礎設定など、作品の核となる部分は人が制作しており、発売するゲームに安易なAI出力データを入れることはないと説明しています。

その後、東京ゲームショウ2026のブースイメージにも生成AIが使われているとの指摘が出ました。日野氏は、公開した画像はAIを使った完成予想イメージであり、実際のブースは人が設計し、造形も手作りで進めていると説明しています。

なぜ生成AIを利用する企業は嫌われるのか

5件で批判が集まった理由は3つに分かれます。仕上がりの粗さ、制作者への姿勢、そして生成AIそのものへの反発です。

仕上がりの粗さが「手抜き」に見える

最初のきっかけは、ほぼすべて出力の粗さです。指が4本しかない、パッケージの文字が崩れている、映像の動きが不自然などと、まず粗さが見つかり、そこから生成AIの使用が疑われる順序になっています。

粗さが問題なのは、見栄えが悪いからだけではありません。企業が公開するものに粗いまま出したという事実が、手間もコストもかけなかったという意味で受け取られます。

クリエイター軽視と受け取られる

粗さだけであれば、制作上のミスとして流れることもあります。批判が強くなったのは、その企業がクリエイターとどう向き合っているかが問われたときです。

サクラクレパス社やレベルファイブ社の事例がこれにあたります。画材メーカーやゲームメーカーの場合、顧客の多くがクリエイターです。

絵を描く人に道具を売る会社が、絵を描く工程をAIに置き換えたことで、「悲しい」「裏切られた」という言葉が出やすくなってしまいました。

生成AIへの批判には、制作の仕事が置き換えられることへの懸念が含まれています。自社の顧客や取引先に制作者がいる場合、メッセージの出し方が重要です。

使ったこと自体を問題視する層がいる

仕上がりが十分でも、生成AIを使ったという一点で批判する反応があります。学習データの集め方や、制作者の仕事への影響を理由とするものです。

企業側でできるのは、批判をゼロにすることではなく、粗さという明確な落ち度を残さないことです。5件はいずれも、粗さを指摘されたことで議論が広がっています。

仕上がりに隙がなければ、少なくとも最初のきっかけは作らずに済みます。

生成AIの炎上を防ぐために企業ができること

前の節で挙げた3つの理由には、それぞれ対処する方法があります。仕上がりを確認すること、AIと人の関わりを説明すること、批判が出たときの動き方を決めておくことです。

公開前に仕上がりを確認する

粗さがどこに出るかは、AIの使い方によって違います。見る場所が変わるため、先に整理します。

何をしたか 粗さが出た部分 該当する事例
ゼロから生成した 指の本数、実写と違うロゴや商品表記、不自然な動き サクラクレパス、レベルファイブ
実写を加工した 文字やラベルの崩れ 味の素

加工した場合、崩れるのは文字とラベルに集中します。元の構図や被写体はそのまま残るため、全体を眺めただけでは気づきにくくなります。味の素の事例で指摘されたのが商品名の1文字だったことが、これを示しています。

そのうえで、公開前に確認する項目を挙げます。

文字が入っている箇所を原寸で確認します。ロゴや商品名、パッケージの表記など、拡大して1文字ずつ読んでください。ほんだしの事例で崩れていたのは商品名でした。

手や指が写っている場合は、本数と関節の向きを見ます。商品を扱う画像は、実物と見比べましょう。ロゴの形、色、パッケージの文言が実物と一致しているかを確認します。

また、AIの加工機能を使ったかどうかを、広報担当者が把握できる状態にすることも重要です。画像編集ツールには明るさ調整や背景変更にAIを使う機能が入っており、使った本人が「AIを使った」と認識していない場合があります。

外部に制作を委託している場合は、制作過程で生成AIを使ったかを確認する取り決めがあるかを見ます。サクラクレパス社の事例で制作したのは販売子会社でした。自社で作っていなくても、社名で批判を受けてしまいます。

AIを使った範囲と、人が関わった範囲を説明する

前の節で挙げた2つ目の理由、制作者を軽視していると受け取られる点に対応するのがこれです。

「生成AIを使用しています」とだけ書いても、この懸念は解けません。読み手が知りたいのは、どの工程にAIを使い、どこを人が手がけたのかです。構図は人が決めたのか、仕上げは誰が見たのか、社内外のデザイナーが関わっているのか。関わった人がいるなら、その事実を出します。

5件では、制作の経緯が説明されたのはいずれも批判を受けたあとでした。先に出しておけば、受け取られ方は変わっていた可能性があります。

ただし、明記すれば防げるという話ではありません。2024年8月に全国展開の飲食チェーンが公開したCMは、投稿文に生成AIの使用を明示していましたが、それでも批判が集まりました。説明は批判をなくす手段ではなく、何をどこまでやったのかを読み手が判断できる材料を出す手段です。

批判が出たときの動き方を決めておく

5件はいずれも、指摘を受けてから生成AIの使用を認め、謝罪しています。対応の速さと内容には差がありました。

サクラクレパス社は12月11日に、販売子会社が制作したこと、デザインチェックが十分でなかったことを説明し、ポスターの撤去と再発防止策を示しています。味の素は投稿の2日後に、実写をAIで加工した結果だと経緯を説明しました。

事前に決めておくのは、誰が判断するか、どこまでを説明するか、いつまでに出すかの3点です。掲出物を下げるかどうかだけを先に決めても、経緯の説明がないまま消したと受け取られます。

生成AIの炎上に関するよくある質問

生成AI関連での企業の炎上について、よくある質問をまとめました。

Q1. 実写を加工しただけでも問題になりますか

味の素の事例がこれにあたります。ゼロから生成していなくても、AIの処理で文字やラベルが崩れれば同じように指摘されます。加工の場合は構図が保たれるぶん、公開前に気づきにくくなります。

Q2. 著作権の問題がないのに、なぜ批判されるのですか

5件のうち、著作権侵害を理由に批判されたものはありません。指摘されたのは仕上がりの粗さと、企業の姿勢に対する失望です。法的に問題がないことと、受け手が納得することは別に扱う必要があります。

Q3. 炎上したら画像をすぐ削除すべきですか

5件では、生成AIの使用を認めたうえで謝罪し、掲出物を撤去する対応が取られています。削除だけを先に行うと、経緯の説明がないまま消したと受け取られます。何を使ってどこを確認できていなかったのかを示すほうが、事実として残ります。

まとめ:生成AIの炎上は公開前のチェックで止められる

2025年12月から2026年9月にかけて、企業と自治体の投稿や掲出物が続けて批判を受けています。ゼロから生成した画像だけでなく、実写を加工しただけの事例もありました。

批判が集まった理由は、仕上がりの粗さ、制作者への姿勢、そして生成AIそのものへの反発の3つです。企業側でできるのは、公開前に仕上がりを確認すること、AIと人がどう関わったかを先に説明すること、批判が出たときの動き方を決めておくことの3つになります。

まずは直近で公開した画像を1枚開き、文字が入っている箇所を原寸で確認しましょう。ロゴと商品名が実物どおりかを見るだけでも炎上対策には効果があります。

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