生成AIで効果が出る業務
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生成AI活用で効果が出るのはどの業務?日本企業はどう選ぶべきか

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公開 2026-08-27

総務省が公表した令和8年版情報通信白書には、生成AIを業務に導入した効果を実感した企業の割合が載っています。日本で最も高いのは「議事録・メール作成補助」ですが、4か国で比べると、日本が最も高い業務はもう一つあります。

この記事では、実際に効果が出た業務のデータを確認します。

議事録で効果が出ているのは日本だけ

業務ごとに生成AI導入の効果を実感したかを尋ねた設問があります。いずれも、その業務で生成AIを活用している企業に尋ねた値です。日本で最も多かったのは議事録・メール作成補助でした。

議事録・メール作成補助の効果実感 日本 米国 ドイツ 中国
効果を実感している 72.3% 42.6% 47.7% 48.1%

日本は他の3か国より20ポイント以上高く、米国とは30ポイント近く差があります。7割以上の企業が議事録・メール作成補助において効果を実感したのは日本だけでした。

議事録が最上位でない国もあります。 米国と中国では研究・商品開発が最も効果の実感があるとされています。ドイツは議事録が最上位ですが47.7%にとどまります。

議事録の作成補助で成果を出していること自体は、他国に比べてAI活用の効果を引き出せている部分です。問題は、その次があるかどうかです。

効果実感の有無で日本は偏りがある

13業務のうち最も効果実感が高い業務と最も低い業務を、4か国で並べます。

日本 米国 ドイツ 中国
最も高い業務 議事録 72.3% 研究・商品開発 47.5% 議事録 47.7% 研究・商品開発 54.3%
最も低い業務 経営 20.1% 法務 18.4% 法務 22.8% 法務 24.8%
開き 52.2pt 29.1pt 24.9pt 29.5pt

日本の開きは52.2ポイントで、米国、ドイツそして中国の開きに比べて約2倍です。
他の3か国では、どの業務でも効果実感に差がありません。ドイツは最も高い業務でも47.7%、最も低い業務で22.8%です。日本は1つの業務だけが7割を超え、残りは4割以下に並びます。分布の形が違います。

日本で最も低いのは「経営」であるのに対し、他の3か国はいずれも「法務」が最下位でした。

法務での生成AI活用は日本が成果を出せている

業務ごとに日本の順位を見ると、低いばかりではありません。4か国で最も高い業務が、議事録の作成補助のほかにもう一つあります。

業務 日本 米国 ドイツ 中国
法務 28.8% 18.4% 22.8% 24.8%
社内ヘルプデスク 42.7% 43.5% 36.1% 33.9%
営業・販売 37.5% 31.7% 33.6% 38.7%
経理・財務 29.7% 26.6% 26.4% 34.5%

法務は日本の28.8%で、米国の1.6倍です。他国が最も成果を出せていない業務で、日本が最も効果を実感しています。

生成AIの活用例として挙がるのは、文書作成、情報収集、データ分析、顧客対応のあたりが中心です。法務がその一覧に入ることはあまりありません。紹介されにくい業務で日本が世界最高の水準にあるということは、例に挙げられていない業務でも活用できる可能性があるということです。

社内ヘルプデスク、営業・販売、経理・財務も、日本は4か国で2番手につけています。「日本企業は生成AIを使いこなせていない」という一括りの説明では、これらの結果を説明できません。

日本が最も低い業務にある共通点とは?

日本が4か国で最も低いのは次の業務です。

業務 日本 米国 ドイツ 中国
研究・商品開発 39.1% 47.5% 41.8% 54.3%
経営 20.1% 32.1% 27.8% 28.7%
人事 23.5% 26.9% 32.7% 38.6%
調達 25.9% 33.9% 40.1% 41.5%
カスタマーサポート 33.8% 33.9% 39.3% 48.4%

カスタマーサポートは米国との差が0.1ポイントで、実質的に並んでいます。他国との差が大きいのは経営、調達、研究・商品開発です。

効果の差を分けるのは、AIに社内の記録を渡す必要があるかどうかです。議事録や法務は、会議の音声や契約書など、AIが参照する情報が比較的明確です。

一方、研究開発や経営、調達には過去の記録や取引履歴などの社内の情報が必要になります。前の記事で見たとおり、生成AIが参照できるデータベースを構築している日本企業は24.5%で、米国は57.2%です。

AIに社内の記録を渡す仕組みを持つ企業が4社に1社という状態は、記録を必要とする業務ほど効果が出にくいという結果と一致します。

ただし、業務別の効果実感とデータ整備状況を突き合わせた集計は白書にありません。あくまで「データを比較した結果から示唆されること」と捉えておきましょう。。

残る3業務のうち、製造・生産、マーケティング・広報そして社内システム開発・運用は4カ国で3番手です。日本は突出して低いわけでも高いわけでもない中位に収まっています。

出典:総務省「令和8年版情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「企業におけるAI利用の現状」(図表Ⅰ-2-1-5)

次にAIを活用する業務の選び方

議事録やデータの作成補助の次に広げる業務を選ぶとき、効果が出るかどうかは業務の重要度では決まりません。ここまでのデータから、選び方の基準が3つ考えられます。

効果が出ている業務の隣から探す

事録作成補助で成果が出ているなら、次に来るのは同じ性質の業務です。社内ヘルプデスクの一次回答、定型文書の下書き、問い合わせ内容の分類などです。いずれもその場にある情報だけで答えが作れ、出力が正しいかをその場で確認できます。

社内の記録が要る業務は、先に記録の側を用意する

研究開発や経営でつまずくのは、AIの性能ではなく参照先がないことです。過去の実験記録が紙のファイルにあり、決裁の記録が個人のメールに散っていれば、AIに渡すものがありません。

用意するというのは、新しくデータを集めることではありません。すでに社内にある資料を、AIから読める場所と形式に置き直す作業です。

何をもって効果とするかを先に決める

本調査では、その業務で活用している企業だけに尋ねた値です。同じ業務に同じように導入していても、実感が薄れてしまいます。

作業時間が何分減れば成功とするのか、修正の回数が何割減れば成功とするのかなどです。効果の測り方はその目的の一部です。

生成AIの業務活用に関するよくある質問

白書のデータから答えられる範囲で、4つの質問に回答します。

Q1. 議事録以外で効果が出ません

導入効果があると感じる業務はないと答えた日本企業は6.0%です。何かしらの業務で効果を感じている企業が大半で、議事録だけという状態は珍しくありません。次に広げる業務は、その業務がAIに何を読ませる必要があるかで選びます。

Q2. どの業務から広げるべきですか

その場にある情報だけで完結し、出力の正しさをすぐ確認できる業務を推奨しています。社内ヘルプデスクの一次回答や定型文書の下書きが当てはまります。社内の記録を参照する業務は、記録を用意してから行います。

Q3. 他社はどの業務で効果を出していますか

日本が4か国で最も高いのは議事録・メール作成補助と法務です。法務は活用例の一覧に載ることが少ない業務ですが、日本では多くの企業が活用しています。

Q4. 経営判断にAIを使えますか

日本における経営利活用の効果実感は13業務のうち最も低い値です。しかし、他の3か国では日本に比べて活用が広がっている業務でもあります。

まとめ:効果が出た業務から次を決める

日本の効果実感は議事録・メール作成補助に72.3%と集中しています。他国では42.6%から48.1%にとどまり、法務だけは28.8%で4か国のなかで最も高く、社内ヘルプデスクや営業・販売、経理・財務も2番手です。

一方で、日本が最も低い研究・商品開発、経営、人事、調達、カスタマーサポートはいずれも社内に蓄積された記録を参照しなければ判断できない業務です。

次に広げる業務を選ぶときは、AIに何を読ませる必要があるかを先に確認してください。読ませるものが会議のなかや外部の書式にあるなら、そのまま広げられます。社内記録が必要なら、その記録をAIが読める形に整えることが先といえるでしょう。

出典:総務省「令和8年版情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「企業におけるAI利用の現状」(図表Ⅰ-2-1-5、Ⅰ-2-1-7)

出典:総務省「令和8年版情報通信白書」「データ集」(第Ⅱ部第1章第11節「デジタル化に関して現在認識している、もしくは今後想定される課題や障壁(各国比較)」