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AI人材不足の企業は何からすべき?必要な人材や外注バランス、社内教育について

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公開 2026-09-07 更新 2026-09-08

経済産業省の推計では、2040年にAI・ロボット等を活用する人材が約340万人不足する一方、事務職は437万人余るとされています。必要なのは採用だけではなく、社内の人材をどう移すかという視点です。

さらに、日本企業は開発の53.9%を社外に依存しています。総務省が公表した令和8年版情報通信白書のデータをもとに、企業はどうすべきか見ていきます。

日本は5つのデジタル人材すべてで4カ国中最下位

社内にAI・データ解析の専門家がいる日本企業は26.4%です。他3カ国と比べると、およそ3分の1にとどまります。

差があるのはAI人材だけではありません。白書が挙げる5つの人材類型すべてで、日本は4か国中もっとも低い割合でした。

デジタル化に対応する人材の在籍 日本 米国 ドイツ 中国
デジタルシステムの実装に精通した者 56.1% 81.9% 83.5% 70.6%
ビジネスのデジタル化に精通した企画・立案者 46.2% 81.2% 74.1% 78.6%
CIOやCDOなどのデジタル化の主導者 35.9% 86.4% 80.6% 83.8%
AI・データ解析の専門家 26.4% 75.4% 77.3% 74.1%
UI・UXに係るデザイナー 23.7% 67.6% 68.9% 70.6%

特に少ないのはデジタル化を主導する人材

日本で特に在籍率が低いのは、CIOやCDOといったデジタル化の主導者と、AI・データ解析の専門家です。他の3か国との差はおよそ50ポイントです。

一方、日本でもビジネスのデジタル化に精通した企画・立案者は46.2%、デジタルシステムの実装に精通した人材は56.1%です。技術を扱う人材だけでなく、デジタル化の方針を決める人材の少なさも目立ちます。

実装人材でもドイツとは27ポイント差

日本の5類型のうち最も在籍率が高いのは、デジタルシステムの実装に精通した人材の56.1%です。それでも、ドイツとは27.4ポイント、米国とは25.8ポイントの差があります。日本の5類型のなかでは高い数字ですが、他国と比べれば、システムを実装する人材についても十分とはいえません。

なお、この記事の冒頭で紹介した経産省の推計は「AI・ロボット等の利活用を担う人材」を対象としており、機械技術者やその他の情報処理通信技術者等を含みます。白書がここで尋ねている「AI・データ解析の専門家」より範囲が広く、同じものではありません。

日本企業のシステム開発は外注メイン

社内に人がいなければ、システム開発は外部の会社に頼むことになります。実際、外注を中心に開発する日本企業が53.9%と、半数以上を占めています。

一方で、米国、ドイツそして中国では内製中心の企業が多数を占めています。

システム開発の体制 日本 米国 ドイツ 中国
ほぼすべての開発を自社エンジニアで実施 14.6% 34.0% 18.1% 21.0%
主に自社エンジニアで開発・一部の開発を外部ベンダーで実施 31.5% 49.8% 60.5% 60.5%
主に外部ベンダーに委託・一部の開発は自社エンジニアで実施 28.9% 13.6% 19.4% 16.5%
ほぼすべての開発を外部ベンダーに委託 25.0% 2.6% 1.9% 1.9%

4社に1社がほぼすべてを外部ベンダーに委託

日本では、ほぼすべての開発を外部に委託する企業が25.0%あります。他3カ国では数%にとどまっており、日本の例外的な形が目立ちます。

内製中心の企業も46.1%どまり

上の2行を内製中心、下の2行を外注中心とすると、日本と他の3か国で形が反転します。

開発体制 日本 米国 ドイツ 中国
内製が中心 46.1% 83.8% 78.6% 81.5%
外注が中心 53.9% 16.2% 21.3% 18.4%

他の3か国では内製中心が8割前後を占めます。日本だけ、外注中心の企業が内製中心を上回っています。

さらに、日本の内製中心46.1%のうち、ほぼすべてを自社で行っているのは14.6%です。米国の34.0%と比べると半分以下になります。日本で内製と呼ばれているものの多くは、実際には一部を外部に出す形です。

外注そのものが問題なのではありません。問題は、顧客情報を取り扱うAIツール開発のように、外注できない作業があることです。

AI人材の確保に動いていない企業が半数以下

AI・データ解析の専門家の確保について、日本企業で最も多い回答は「何も取り組んでいない」の27.2%でした。

確保に向けた取組 日本
社内の既存人材の配置転換や育成 25.8%
採用(新規・中途両方を含む) 20.2%
コンサルタントなどの社外の専門家との契約 19.0%
関連会社からの異動・移籍・出向 12.6%
わからない 21.4%
何も取り組んでいない 27.2%

最も多い取組は社内育成の25.8%ですが、それを上回って「何も取り組んでいない」が27.2%あります。米国、ドイツそして中国と比べると、日本だけが突出しています。

さらに、「わからない」と答えた企業も21.4%あります。 つまり、確保に動いていないか、動いているかを把握していない企業が、あわせて半数近くを占めます。

では、社内にAI専門の人材がいない状態だと、何が起こるのでしょうか。

外注できる作業とできない作業

外注に向いているのは、仕様がすでに決まっている開発です。作るものが決まっていれば、実装そのものは社外のエンジニアに任せられます。

社内データをAIが読める形にする場合も同じです。工程を分けると、外部に出せるものと出せないものがはっきり分かれます。

外注できる作業 社内でしか決められない作業
決めた形式へのファイル変換 どの資料をAIに読ませるかの選定
検索や社内チャットの画面の実装 どれが現行版でどれが古い版かの判別
データベースの構築と運用 誰にどこまで参照させるかの線引き
動作確認とテスト 出力が業務上正しいかの判断

左側は、渡すものが決まっていれば任せやすい作業です。右側は、どれも自社の資料を理解していなければ判断できません。

別の記事で見たとおり、生成AIが参照できるデータベースを構築している日本企業は24.5%、米国は57.2%でした。ここで重要なのは、システムを作る技術だけではありません。AIに何を読ませ、どう使うかを社内で決める体制も必要です。

外注中心という体制は、仕様が決まった開発に特に利用されます。仕様を決める工程そのものが仕事になる作業には向いていません。AI・データ解析の専門家とデータベース構築が近い水準で並んでいるのは、外部に開発を任せるだけでは進めにくい工程が残っていることを表していると考えられます。

ダイキン工業の社内AI人材の育て方

大手空調メーカーのダイキン工業では、社内にデジタル人材を育てる仕組みを作り、新入社員を対象とした2年間の教育課程を設けているとされています。

ポイントは、外注をやめたことではありません。外部の力を使いながらも、何を作るかを考えられる人材を社内に置いていることです。
ダイキン工業の事例(情報通信白書データ集)
出典:総務省「令和8年版情報通信白書」「データ集」(設備故障診断を支援するAIエージェント(ダイキン工業・日立製作所))

AI人材は社内に何人必要?

必要な人数から考えるのではなく、先に社内に残す役割を決めます。他の3か国のデータを見ると、全面的な内製化が目標ではありません。

全部を内製にする必要はない

米国でも「ほぼすべてを自社エンジニアで実施」は34.0%で、多数派ではありません。最も多いのは「主に自社エンジニアで開発し、一部を外部ベンダーで実施」の49.8%です。ドイツと中国でも、60.5%を占めています。

目指すべきなのは全面的な内製化ではなく、主に自社で開発して一部を外部に任せる形です。 日本でこの形を採る企業は31.5%にとどまります。

最初に必要なのは、仕様を決められる人

AI・データ解析の専門家を採用するところから始めると、要件が決まらないまま募集をかけることになります。外注中心の体制のままでは、入社した人に任せる仕事も定まりません。

先に必要なのは、自社の資料や業務を理解していて、外部に何を頼むかを決められる人です。この役割は既存の社員が担うこともできます。実際、AI人材の確保の取組で社内育成が25.8%と、取組のなかで最も多くなっています。

経済産業省の推計では、2040年の事務職は437万人余るとされています。採用より先に、社内の人材を新しい役割へ移すことも可能であるということです。

出典:経済産業省 経済産業政策局「2040年の就業構造推計(改訂版)について」(2026年3月、産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 参考資料2)

「わからない」を減らすことから始める

AI人材の確保について「わからない」と答えた企業が21.4%あります。

最初にやることは、社内データとAIをつなぐ役割を誰の担当にするかを決めることです。情報システムでも、経営企画でも構いません。担当が決まれば、社内で判断することと外部に任せることを切り分けられます。

AI人材と開発体制に関するよくある質問

白書と経産省の推計から答えられる範囲で、4つの質問に回答します。

Q1. 社内データをAIにつなぐのはAI人材の仕事ですか

社内データをデジタル化してまとめるのは一般のIT人材でも可能です。また、機密データがある場合は総務や経理担当者のチェックも欠かせないでしょう。この点は専門部署である必要はありません。

日本企業の現状は、AI人材確保の取組で「わからない」と答えた企業が21.4%、「何も取り組んでいない」が27.2%です。まずは担当を決めるところが出発点になります。

Q2. 外部ベンダーに任せてはいけないのですか

仕様が決まった開発は外部に任せても構いません。日本の外注中心53.9%という体制は、その形の仕事に最適化されています。

一方、どの資料をAIに読ませるのか、誰にどこまで参照させるかといった判断には、自社の業務やデータへの理解が欠かせません。

Q3. 社内にエンジニアがいない場合はどうすればよいですか

最初からエンジニアを採用する必要はありません。まず必要なのは、外部に何を依頼するかを決める人です。日本で最も在籍率が高い人材類型は実装に精通した人ですが、CIO・CDOの主要人材は35.9%、AI・データ解析の専門家は26.4%にとどまっています。

Q4. 中小企業でも内製化は可能ですか

全面的な内製化を目指す必要はありません。他の3か国で最も多い形も「主に自社で開発し、一部を外部ベンダーへ」です。企業規模による差については別の記事で扱っています。

まとめ:AI人材の不足は、体制の話として現れる

経済産業省の推計では、2040年にAI・ロボット等の利活用を担う人材が約340万人不足する一方、事務職が437万人余るとされています。人材が足りないから採用する、というだけでは解決しにくい問題です。

実際、日本は5つの人材類型すべてで4か国の最下位でした。AI・データ解析の専門家は26.4%にとどまり、システム開発も外注中心の企業が53.9%と、他の3カ国とは異なる傾向が見られます。一方で、AI人材確保について「何も取り組んでいない」と答えた企業は27.2%、「わからないは」21.4%でした。

最初の一歩は、社内データとAIをつなぐ役割を誰が担うか決めることです。採用計画を立てる前に、外部へ何を任せるかを決める人を社内で整理する。そこから、必要な人材や育成の方法が見えてきます。

出典:総務省「令和8年版情報通信白書」「データ集」(第Ⅱ部第1章第11節「デジタル化に対応する人材の在籍状況(各国比較)」「デジタル人材の確保に向けた取組(各国比較)」ほか)

出典:総務省「令和8年版情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節「企業におけるAI利用の現状」(図表Ⅰ-2-1-5)

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