ChatGPTやClaudeに仕事を頼むたびに、背景や条件を長々と打ち込むのが面倒だと感じていないでしょうか。
AI音声入力アプリを使えば、話した内容から「えー」「えっと」など余計な部分を除き、句読点を整えた文章を、カーソルのある場所にそのまま入力できます。
この記事では、AI音声入力アプリの選び方とおすすめ7選、ChatGPTやClaudeへの指示など業務で活用できる場面を解説します。
AI音声入力アプリとは?普通の音声入力との違い
AI音声入力アプリは、話した言葉を文字にしたうえで、AIが読みやすい文章に整えて入力してくれるアプリです。
「えー」「あの」といった言い淀みを取り除き、句読点や改行を入れ、ツールによっては箇条書きにしたり、入力先のアプリに合わせて文体を変えたりします。
MacやWindows、スマートフォンに付いている音声入力との違いは次のとおりです。
| 項目 | OS標準の音声入力 | AI音声入力アプリ |
|---|---|---|
| 言い淀み | 話したとおりに文字になることが多い | 取り除いて入力する |
| 句読点・改行 | 自動で入る設定もあるが、細かく整えるのは苦手 | 文の内容に合わせて入れる |
| 文章の整形 | ほとんどしない | ツールによっては箇条書き化や文体の調整まで行う |
| 料金 | 追加料金なし | 無料のアプリと有料のアプリがある |
使い方はOS標準の音声入力と同じで、ショートカットキーを押して話すと、メール、チャット、ChatGPTやClaudeの入力欄など、カーソルのある場所に文章が入ります。整形の度合いはツールや設定によって変わります。
なお、会議の録音を文字にするNottaやAiNoteのような文字起こしツールとは目的が違います。文字起こしツールは録音した会話を記録として残すためのもので、AI音声入力アプリは自分が書く文章をキーボードの代わりに声で入力するためのものです。
AI音声入力アプリの選び方
AI音声入力アプリを選ぶときは、日本語での使いやすさ、対応する端末、音声データの扱い、料金の4点を確認しましょう。
日本語に対応し辞書登録ができるか
多くのAI音声入力アプリは100以上の言語に対応していますが、日本語で使えることと、仕事で使う言葉を正しく入力できることは別です。
社名や人名、業界の専門用語、カタカナの製品名は誤変換されやすいため、よく使う言葉を登録できる辞書の機能があるかを確認しましょう。
使うパソコンやスマートフォンに対応しているか
対応する端末はアプリによって大きく違います。Macだけで使うのか、WindowsとMacの両方で使うのか、スマートフォンでも同じアプリを使いたいのかで候補が変わります。
会社のパソコンがWindowsで、自宅ではMacを使うといった場合は、両方に対応しているアプリを選びましょう。
音声をどこで処理しデータをどう扱うか
AI音声入力アプリには、音声をクラウドに送って処理するものと、端末内で処理するものがあります。クラウドで処理するアプリは高性能なAIで整形できる一方、話した内容が外部のサーバーに送られます。端末内で処理するアプリは、音声を外に送らずに使えます。
クラウドで処理するアプリでも、データを保存しない、AIの学習に使わないといった方針を公開しているものがあります。仕事で使う場合は、各アプリが公開しているデータの扱いを確認しておきましょう。
料金と無料で使える範囲
有料のアプリでも、多くは無料プランを用意しています。無料プランは「1週間に2,000語まで」のように入力できる量に上限があるものが多く、毎日仕事で使うと足りなくなることがあります。
有料プランは月額か年額のサブスクリプションが中心で、料金はドル建てが多いです。買い切りで購入できるアプリや、すべての機能を無料で使えるオープンソースのアプリもあります。
AI音声入力アプリおすすめ7選
ここでは、AI音声入力アプリを7つ紹介します。有料プランのあるアプリ4つ、無料のアプリ2つ、OS標準の音声入力の順に並べています。
| アプリ | 対応する端末 | 音声・データの扱い | 無料で使える範囲 | 有料プラン(年払いの月額) |
|---|---|---|---|---|
| Aqua Voice | Mac、Windows、iPhone | クラウドで処理 | 1,000語まで | 8ドル〜 |
| Typeless | Mac、Windows、Linux、iPhone、Android | クラウドにデータを保存しない | 語数の上限あり | 12ドル |
| Wispr Flow | Mac、Windows、iPhone、Android | 学習へのデータ提供をオフにできる | 1週間に2,000語まで(パソコン) | 12ドル |
| Superwhisper | Mac、Windows、iPhone、Android | 無料版は端末内で処理 | 端末内のモデルなら無制限 | 約7ドル(年84.99ドル) |
| Amical | Mac、Windows | 初期設定は端末内で処理 | すべて無料 | なし |
| Handy | Mac、Windows、Linux | 端末内で処理 | すべて無料 | なし |
| OS標準の音声入力 | 各OS | OSによる | すべて無料 | なし |
料金や無料で使える範囲は変わることがあるため、契約する前に各アプリの公式サイトで確認しましょう。
Aqua Voice
Aqua Voiceは、話した内容をAIで整えて入力するクラウド型のアプリです。日本語に対応しており、人名や専門用語を登録できる辞書の機能があります。
画面に表示されている内容を参考に文章を整える「Deep Context」という機能もあり、入力先に合った形で入力できます。
対応する端末はMac、Windows、iPhoneです。Android版は事前登録の受付中ですが、公開日は未定です。
料金は、無料プランで1,000語まで試せます。有料のProプランは年払いで月8ドル(月払いは月10ドル)で、入力できる語数に上限がありません。法人向けのBusinessプランには、データを保存しない設定や、チームで共有できる辞書があります。
ChatGPTやClaudeに長い指示を話して入力したい人や、カタカナ語や専門用語を多く使う人に向いています。
Typeless
Typelessは、Mac、Windows、Linux、iPhone、Androidと、パソコンとスマートフォンの主要なOSで使えるアプリです。100以上の言語に対応し、日本語の公式サイトも用意されています。
話した内容から言い淀みを取り除き、箇条書きや手順を自動で整理して入力します。使うアプリごとに文体を変えたり、話した内容を別の言語に翻訳して入力したりもできます。よく使う言葉は個人用の辞書に登録することも可能です。
音声はクラウドに保存せず、AIの学習にも使わない方針を公開しています。
料金は、無料プランは入力できる語数に上限があります。有料のProプランは年払いで月12ドル(月払いは月30ドル)で、語数の上限がなくなり、複数の端末で設定を同期できます。
パソコンとスマートフォンの両方で、同じアプリを使いたい人に向いています。
Wispr Flow
Wispr Flowは、Mac、Windows、iPhone、Androidで使えるアプリで、100以上の言語に対応しています。
無料プランでは、パソコンで1週間に2,000語、スマートフォンで1週間に1,000語まで入力できます。上限が1週間ごとに戻るため、無料のまま使い続けながら自分に合うかを確かめられます。有料のProプランは年払いで月12ドル(月払いは月15ドル)で、語数の上限がありません。
どのプランでも、入力したデータをAIの学習に使わないよう設定できます。
Superwhisper
Superwhisperは、音声をパソコンの中で処理するか、クラウドで処理するかを選べるアプリです。
無料版では、端末内でOpenAIの音声認識モデル(Whisper)を使って、上限なく使えます。辞書の登録や、特定の言葉を置き換える設定も無料版で使えます。
有料のProプランでは、クラウドのAIモデルを使った整形や、メール用・メモ用など目的ごとに整え方を決められる「モード」を無制限に作れるようになります。料金は月8.49ドル、年84.99ドル、買い切り249.99ドルの3種類で、1つのライセンスでMac、Windows、iPhone、Androidのすべてで使えます。
音声を外部に送らずに使いたい人や、買い切りで使いたい人に向いています。
Amical
Amicalは、無料で使えるオープンソース(MITライセンス)のAI音声入力アプリです。MacとWindowsに対応しています。
初期設定では、音声認識もAIによる文章の整形もパソコンの中で行うため、音声を外に送らず、インターネットに接続していなくても使えます。
無料でありながら、言い淀みの除去や、メールなら丁寧に、チャットなら気軽にといった、使っているアプリに合わせた文体の調整が可能です。専門用語・固有名詞の登録や、OpenAIなどのクラウドのAIモデルで処理することもできます。
ただし、端末内でAIを動かすため、パソコンの性能によっては処理に時間がかかる点に注意しましょう。
Handy
Handyは、無料で使えるオープンソースの音声入力アプリです。Mac、Windowsに加えて、Linuxにも対応しています。
ショートカットキーを押しながら話し、キーを離すと、話した内容がカーソルのある場所に貼り付けられます。音声はパソコンの中で文字にするため、クラウドに送られません。音声認識のモデルは複数から選べ、日本語での認識の精度は選んだモデルによって変わります。
話した内容をすぐに文字にできる手軽さを求める人や、Linuxでも使いたい人に向いています。
OS標準の音声入力(Mac・Windows・スマートフォン)
MacやWindows、スマートフォンには、追加料金なしで使える音声入力の機能が付いています。
Macでは、マイクキーを押すか、「システム設定」の「キーボード」で決めたショートカットで音声入力を始められます。Windowsでは、Windowsキーを押しながらHキーを押すと音声入力が始まり、設定で「自動句読点」をオンにすると句読点が自動で入ります。スマートフォンでは、キーボードのマイクボタンから利用可能です。
ただし、言い淀みの除去や文章の整形は、Copilot+ PCのWindowsなど一部の環境に限られます。まず音声入力に慣れたい人は、OS標準の機能で試してから、AI音声入力アプリに切り替えるとよいでしょう。
業務でAI音声入力を活用できる場面
AI音声入力は、キーボードで打つと長くなる文章で効果が出ます。ここでは、ChatGPTやClaudeへの指示、会議後のメモや日報、メールやチャットの返信、企画書や資料の下書きの4つの場面を紹介します。
ChatGPTやClaudeへの指示を話して入力する
ChatGPTやClaudeに仕事を頼むときは、依頼の背景や目的、読み手、守ってほしい条件まで伝えたほうが、意図に合った答えが返ってきやすくなります。ただ、それをすべてキーボードで打つのは手間がかかります。
AI音声入力アプリを使えば、ChatGPTやClaudeの入力欄にカーソルを置いてショートカットキーを押し、思いつく順に話すだけ。文章が入力されたら、内容を読み直して送信しましょう。
話す順番が多少前後しても、ChatGPTやClaudeは前後の内容から意図をくみ取ってくれることが多いです。たとえば、取引先への提案内容の壁打ちを頼むなら、次のように話します。
ChatGPTやClaudeにも、音声入力の機能があります。ChatGPTは入力欄のマイクアイコンから、Claudeはスマートフォンのアプリの入力欄のマイクから音声で入力できます。Claudeは、Mac版のデスクトップアプリでも、クイック入力の画面でCaps Lockキーを押して音声入力が可能です(初期設定ではオフ)。
| 方法 | 使える場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| ChatGPTの音声入力 | ChatGPTの入力欄 | 文字にした内容を確認・編集してから送れる |
| Claudeの音声入力 | Claudeのスマートフォンアプリ、Mac版デスクトップアプリのクイック入力 | 日本語に対応(英語以外はベータ版) |
| AI音声入力アプリ | パソコンのあらゆるアプリの入力欄 | ChatGPTやClaude以外のメールやチャットでも同じ操作で使える |
ChatGPTやClaudeの中だけで音声入力を使うなら、それぞれに付いている機能でも十分です。
メールやチャット、資料の作成なども含めて、パソコンでの入力全般を声で行いたいなら、AI音声入力アプリを入れましょう。なお、開発者向けのClaude Codeでも、/voice コマンドで音声入力を使えます。
会議後のメモや日報を話して作る
会議の直後や移動中に、決まったこと、気になったこと、次にやることを話して入力しておくと、記憶が新しいうちに内容を残せます。この段階では、話がまとまっていなくても構いません。
話して残したメモは、ChatGPTやClaudeに渡して、要点の整理やToDoの書き出し、日報の形式への整形を頼みましょう。
メールやチャットの返信を話して書く
メールやSlack、Teamsなどの返信は、入力欄にカーソルを置いて直接話して書けます。TypelessやAmicalのように、使っているアプリに合わせて文体を整えるアプリなら、メールでは丁寧な文面、チャットでは短い文面で入力されるため、手直しの必要が少なくて済みます。
社外向けの丁寧なメールに仕上げたいときは、伝えたい内容を話してChatGPTやClaudeに渡し、文面に整えてもらう方法もあります。
企画書や資料の下書きを話して作る
企画書や報告書のような長い文章は、キーボードで書き出すまでに時間がかかりがちです。企画の狙いや背景、伝えたいことなど、頭の中にある考えをまとめて話して入力すれば、最初の材料を早く出せます。
話した内容をChatGPTやClaudeに渡し、構成案や文章の形に整えてもらいましょう。
AI音声入力アプリの精度を上げるコツ
AI音声入力アプリで誤変換が多いときは、マイク、辞書の登録、話し方、送る前の確認の4つを見直しましょう。
1つ目は、マイクを口元に近づけることです。パソコンに内蔵されたマイクは周りの音を拾いやすいため、ヘッドセットやイヤホンのマイクを使うと、声がはっきり届きます。
2つ目は、社名や人名、専門用語を辞書に登録することです。何度も誤変換される言葉は、登録しておくと次から正しく入力されやすくなります。
3つ目は、一文ずつ区切らず、言いたいことをまとまった単位で話すことです。AI音声入力アプリは前後の文脈から文章を整えるため、細かく区切るより、ひとまとまりの内容を落ち着いて話したほうが自然な文章になりやすくなります。
4つ目は、送信する前に、固有名詞と数字を読み直すことです。整った文章になっていても、人名や金額、日付が違っていることがあります。
AI音声入力アプリを仕事で使うときの注意点
AI音声入力アプリを仕事で使う前に、データの扱いと会社のルールを確認しておきましょう。
クラウドで処理するアプリは、話した内容が外部のサーバーに送られます。会社によっては、AIツールの利用規程で使ってよいツールや入力してよい情報を決めているため、まず規程を確認し、必要なら情報システム部門に相談しましょう。
アプリを選ぶときは、データを保存しない、AIの学習に使わないといった方針や、管理機能のある法人向けプランがあるかを確認しましょう。ChatGPTの音声入力も、個人向けプランで「データコントロール」の設定から音声の共有をオンにしていると、音声がモデルの改善に使われることがあります。共有したくない場合は、設定でオフにしておきましょう。
顧客情報や社外秘の情報を話す可能性がある場合は、AmicalやHandy、Superwhisperの無料版のように、端末内で処理するアプリを選ぶ方法もあります。
また、オフィスや電車の中など周りに人がいる場所では、話した内容が聞こえてしまいます。会議室や在宅勤務の時間など、声を出しても問題ない場面で使い始めるとよいでしょう。
まとめ:AI音声入力アプリは目的に合わせて選ぼう
AI音声入力アプリは、話した内容から言い淀みを除き、句読点を整えた文章を、どのアプリにも入力できるアプリです。選ぶときは、日本語での使いやすさ、対応する端末、音声データの扱い、料金を確認しましょう。
ChatGPTやClaudeへの指示や専門用語の入力を重視するならAqua Voice、パソコンとスマートフォンの両方で使うならTypelessかWispr Flow、音声を外に送りたくないならSuperwhisper、無料で使うならAmicalかHandyが候補です。
まずは無料で使えるアプリを入れて、次にChatGPTやClaudeへ頼む依頼を一度話して入力してみましょう。
この記事の監修者
小杉 啓太
監修株式会社みずかげ製作所 代表取締役
慶應義塾大学理工学部にてCNNによる画像分類を研究。エンジニアリング視点を持ったWebマーケターとして、SEO戦略立案から1,000本以上の記事校閲・編集まで幅広く経験。 ClaudeやCodexによる高度なWeb開発や、n8n・Google Workspace Studioを活用した最新の業務自動化ノウハウを武器に、IT・マーケティング分野の専門的で信頼性の高いコンテンツ監修を手掛ける。