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Gemini NotebookとRAGの違いは?使い分けと社内向けRAGとして使う手順

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公開 2026-09-23

Gemini Notebook(旧NotebookLM)は、アップロードした資料をもとに回答するため、RAGと同じ考え方で活用できます。

特定のテーマの資料を少人数で調べる用途なら、開発なしで社内向けのRAGとして導入可能です。
一方、大量の文書を横断して検索する場合や、社内システムとの連携、細かな権限管理が必要な場合は、自社でRAGを構築します。

本記事では、両者の違いと使い分け、社内で使う手順を解説します。

Gemini NotebookとRAGの関係

Gemini Notebook(旧NotebookLM)は、アップロードした資料から質問に関係する情報を探し、その内容をもとに回答します。
資料を検索してから回答を作るという点で、RAGと同じ考え方のツールとして使用可能です。

RAGの仕組み

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)は、質問に関係する資料を検索し、見つけた内容を生成AIに渡して回答させる仕組みです。

一般的な生成AIは、社内規程や社内マニュアルなど、公開されていない社内情報をそのまま参照することはできません。

RAGでは、回答のたびに必要な資料を探して生成AIに渡すため、社内情報にも答えられるようになります。

処理の流れは、大きく次の3段階です。

  1. 社内の文書を、検索できる形で保存しておく
  2. 質問を受けたら、内容の近い箇所を文書から探す
  3. 見つけた箇所をもとに、生成AIが回答を作る

回答の根拠となる情報を手元の文書から取得するため、事実と異なる内容を生成する「ハルシネーション」を抑えやすくなります。

ただし、検索で適切な箇所を見つけられなければ、回答の質も下がります。
RAGの精度は、生成AIの性能だけでなく、検索の精度と文書の整え方にも左右されるのです。

Gemini Notebookの回答の仕組み

Gemini Notebookは、アップロードした資料(Gemini Notebookでは「ソース」と呼びます)に含まれる情報に基づいて質問に答えます。

公式ヘルプでは、ソースが複数ある場合は質問に基づいて最も関連性の高い情報を取得すると説明されています。
ChatGPTなどの汎用のチャットAIが学習済みの知識やウェブの情報から回答を作るのに対し、Gemini Notebookは、ノートブックに追加した資料を回答の根拠とするのが特徴です。

回答には引用元が付きます。引用元をクリックすると資料の該当箇所を確認でき、回答に基づく資料をその場で確認できます。

ただし、Googleの公式ページでは「RAG」という言葉は使われておらず、内部でどのような方式を採っているかは公表されていません。
そのため、Gemini NotebookをRAGそのものと言い切ることはできません。

一方、資料から関連する情報を探し、その内容に基づいて回答するという点では、RAGと共通する仕組みを持っています。

Gemini Notebookでできること全般は、以下の記事で紹介しています。

Gemini Notebookと自社で構築するRAGの違い

Gemini Notebookは、資料を入れるだけで使える代わりに、扱える資料の量や他システムとの連携に制約があります。

自社で構築するRAGは、開発と運用の手間がかかる代わりに、扱う量や連携、権限を自社の要件に合わせて設計できます。主な違いは次のとおりです。

項目 Gemini Notebook 自社で構築するRAG
導入の手間 Googleアカウントがあればすぐに使える。開発は不要 文書の検索の仕組み、生成AIとの接続、利用画面の開発が必要
扱える資料の量 1ノートブックあたり50〜600ソース(プランによる) 設計しだいで大量の文書を扱える
資料の更新 Googleドライブから追加した資料は自動で同期される 文書の保存先から定期的に取り込む仕組みを作れる
他システムとの連携 ソースは画面から追加して使うのが基本 業務システムやチャットツールに組み込める
権限管理 ノートブック単位で閲覧者・編集者を指定する 文書や部署ごとに見せる範囲を設定できる
費用 無料から使える。上限を増やすには有料プランが必要 開発費と、サーバーや生成AIの利用料などの運用費がかかる

表の中でも、導入の判断で最初に確認したいのが「扱える資料の量」です。

Gemini Notebookは、1つのノートブックに入れられるソースの数に上限があります。
対象となる文書がこの上限に収まるかどうかで、Gemini Notebookで対応できるかを判断する一つの目安となります。

プラン別の上限は後述の「利用上限とプラン」で紹介します。

Gemini Notebookには、RAGとして使う以外の機能もあり、回答の引用元を確認できるほか、読み込ませた資料から音声解説やマインドマップ、比較表を作成可能です。

社内向けの検索システムとしてだけでなく、資料の内容を整理・理解するためのツールとしても活用できます。

Gemini NotebookとRAGの使い分け

特定のテーマの資料を、部署やプロジェクトの少人数で調べるならGemini Notebookが向いている一方、全社の文書を横断して検索する場合や、業務システムに組み込む場合は、自社でRAGを構築する方が適しています。

Gemini Notebookで足りるケース

Gemini Notebookが向いているのは、対象の資料がテーマごとにまとまっていて、利用する人が限られている場面です。
たとえば、次のような使い方があります。

  • プロジェクトの企画書や議事録を入れ、決定事項や経緯を質問する
  • 部署のマニュアルや社内規程を入れ、メンバーが手順や条件を調べられるようにする
  • 調査資料や論文を入れ、要点や根拠の箇所を確認する
  • 過去の問い合わせ対応の記録を入れ、回答の下書きを作る

自社でRAGを構築する前の試用にも活用可能です。
社内でRAGの導入を検討している段階なら、まずGemini Notebookに対象の資料を入れて社員に使ってもらうことで、どのような質問が多いか、どの資料がよく参照されるかを把握できます。

その結果は、RAGを構築する際の要件を固める材料としても活用可能です。

自社でRAGを構築したほうがよいケース

自社での構築を検討するのは、Gemini Notebookの上限や機能では要件を満たせない場合です。

1つ目は、対象の文書の数がソースの上限を大きく超える場合です。

全社の規程、過去数年分の報告書、製品ごとのマニュアルなどをまとめて検索したい場合、ノートブックを複数に分けると管理が複雑になります。

2つ目は、社内のシステムに組み込みたい場合です。

社内のチャットツールから質問できるようにしたい、問い合わせ窓口の回答に使いたいといった要件では、業務システムと連携できるRAGのほうが対応しやすくなります。

3つ目は、見せる相手や文書を細かく分けたい場合です。

Google WorkspaceのGemini Notebookは、初期設定で組織内のユーザーとしか共有できません(管理者が許可すれば社外とも共有できます)。

同じ質問窓口で部署や役職ごとに参照できる文書を変えたい場合や、取引先など社外の人にも使わせたい場合は、自社でRAGを構築したほうが要件に合わせやすくなります。

4つ目は、検索の条件を細かく調整したい場合です。

型番や品番の完全一致で探したい、新旧の規程が混在する中から現行版だけを参照させたいといった要件では、検索の方法や文書の分け方を調整する必要があります。

Gemini Notebookでは検索の仕組みを利用者が設定できないため、資料の側を整えて対応することになります。

Gemini Notebookを社内向けRAGとして使う手順

資料を用意してノートブックに追加し、チームに共有すれば、社内の資料に基づいて答えるAIとして使用可能です。
資料をGoogleドライブに置いておくと、更新も自動で反映されます。

資料を用意する

最初に、ノートブックに入れる資料を集めます。
Gemini Notebookにソースとして追加できる主な形式は次のとおりです。

  • 文書ファイル:PDF、Word(docx)、テキスト(txt)、Markdown(md)、CSV、PowerPoint(pptx)、ePub
  • Googleドライブ:Googleドキュメント、Googleスライド、Googleスプレッドシート
  • ウェブ上の情報:ウェブページのURL、YouTube動画のURL
  • その他:画像、音声ファイル、コピーして貼り付けたテキスト

1つのソースに含められるのは最大50万語で、アップロードできるファイルのサイズは200MBまでです。

Googleスプレッドシートは、別に10万トークンの上限があります。

資料は、1つのノートブックにつき1つのテーマを目安にまとめましょう。

就業規則と製品マニュアルを同じノートブックに入れると、質問と関係の薄い資料まで参照されやすくなります。
「人事規程」「製品Aのサポート」のように、質問する人や用途が共通する資料ごとにノートブックを分けるのがおすすめです。

課題管理ツールやチャットツールなど、他のツールに蓄積された情報も、テキストやMarkdown、CSVに書き出せばソースとして利用できます。
ファイル数が多い場合は、いくつかのファイルにまとめてから追加すると、ソース数の上限に収めやすくなります。

Excelファイルを扱う場合の注意点は以下の記事で解説しています。

ノートブックを作ってソースを追加する

資料がそろったら、ノートブックを作ってソースを追加します。

  1. Gemini Notebookを開き、ノートブックを新規作成する
  2. ソースの追加画面で、PCのファイルをアップロードするか、Googleドライブの資料やURLを指定する
  3. ソースの読み込みが終わったら、チャット欄に質問を入力する
  4. 回答に付いた引用元をクリックし、資料の該当箇所と内容が合っているかを確認する

社内で使ってもらう前に、実際に出そうな質問をいくつか試しておきます。
回答が資料のどこを根拠にしているかを確認し、的外れな回答が多い場合は、資料の分け方や書き方を見直します。

具体的な見直し方は、次の章で紹介します。

チームに共有する

ノートブックの共有画面で相手のメールアドレスを追加し、「閲覧者」か「編集者」を選びます。

閲覧者は、共有されたノートブックを読み取り専用で利用します。
編集者は、ソースやメモの表示・追加・削除に加え、ほかのユーザーへの共有も可能です。

資料を管理する担当者だけを編集者にし、利用する社員は閲覧者にすると、ソースを誤って削除されるリスクを抑えられます。

共有できる相手の範囲は、アカウントの種類によって異なります。

  • Google Workspaceのアカウント:組織内のユーザー(初期設定)
  • 個人のGoogleアカウント(Gmail):最大50人のユーザー

Google Workspaceのアカウントでも、2026年9月10日からは、管理者が管理コンソールで組織外との共有を許可できるようになりました(順次展開)。

許可する範囲は「オフ(組織内のみ)」「信頼できるドメインのみ」「すべての外部ユーザー」「リンクを知っている全員(公開ノートブック)」の4段階から選べます。
社外の人と共有したい場合は、自社の管理者に設定を確認してください。

有料プランでは、共有の範囲を「チャットのみ」にすることも可能です。
チャットのみで共有すると、閲覧者の画面ではソースなどが表示されず、質問と回答に集中できます。

ただし、「チャットのみ」は資料を画面上で非表示にする設定であり、閲覧者のアクセス権限そのものを取り消すわけではありません。
利用者に見せたくない資料は、ノートブックに追加しないようにしてください。

資料の更新を反映する

Googleドライブから追加したソースは、数分ごとに自動で同期されるため、元の資料を編集すると、ノートブックを開いたときに内容が更新されます。
すぐに反映させたい場合は、ソースを開いて「Googleドライブと同期」をクリックしてください。

公式ヘルプで自動同期の対象として案内されているのは、Googleドライブから追加した資料です。
改訂の多いマニュアルや規程は、Googleドキュメントなどの形でドライブに置き、そこからソースに追加しておくと、更新のたびにファイルを入れ直す手間を省けます。

なお、ドライブ上の元ファイルが削除されたり、ファイルへのアクセス権がなくなったりすると、そのソースはノートブックで表示・利用できなくなります。
共有ドライブの整理で資料を移動・削除するときは、ノートブックへの影響も確認してください。

Gemini Notebookの回答精度を上げるコツ

Gemini Notebookの回答の精度は、資料の整え方で変わります。質問に関係する情報を見つけやすい形にしておくことで、より的確な回答を得やすくなります。

資料の書き方を整える

  • 見出しで構成を示す
  • スキャンしたPDFはテキストに直す
  • 表には列の見出しを付ける
  • 略語は用語集で補う

章や項目の区切りがはっきりした文書は、どこに何が書かれているかを把握しやすくなります。
一方、スキャンしたままの画像のPDFや、図と文章が入り組んだレイアウトの資料は、正しく読み取れないことがあります。
重要な資料は、テキスト形式に整えてから追加すると良いでしょう。

表は、「料金」「期間」のように各列の意味がわかる見出しを付け、結合したセルや空欄の多い形を避けます。
条件によって値が変わる表は、表の前後に文章で条件を補足すると、条件を指定した質問にも対応しやすくなります。

社内の略語は、正式名称との対応表を用語集としてソースに加えておきましょう。質問では略語、資料では正式名称だけが使われているといった場合でも、両者を結び付けて回答しやすくなります。

ノートブックの中身を管理する

  • 古い版の資料を削除する
  • テーマごとにノートブックを分ける

改訂前と改訂後の規程が両方入っていると、古い条件に基づいた回答が返ってくることがあります。
改訂履歴を残したい場合は、資料の冒頭に施行日や版数を明記してください。

また、テーマの違う資料が混ざると、質問と関係の薄い箇所が参照される可能性が高まります。

資料を整えても、読み違いや関係の薄い箇所を根拠にした回答が出ることはあります。
重要な判断に使う前には、回答に付いた引用元で根拠を確認するよう、利用する社員に周知しておきましょう。

Gemini NotebookをRAGとして業務で使う前に確認すること

業務で使う前に、扱える資料の量とデータの扱いの2点を確認します。
扱える量はプランで、データの扱いはアカウントの種類で異なることにも注意が必要です。

利用上限とプラン

Gemini Notebookは無料から使えますが、ノートブック数やソース数、1日のチャット回数に上限があります。
個人のGoogleアカウントでは契約しているプランで、Google Workspaceのアカウントではエディションによって上限が異なります。

個人のGoogleアカウントの上限は次のとおりです(2026年9月時点)。

項目 標準(無料) Plus Pro Ultra(20TB) Ultra(30TB)
ノートブック数(1ユーザーあたり) 100 200 500 500 500
ソース数(1ノートブックあたり) 50 100 300 500 600
チャット回数(1日あたり) 50 200 500 2,500 5,000
音声解説の生成数(1日あたり) 3 6 20 100 200

Google Workspaceの主なエディションの料金と、Gemini Notebookの上限は次のとおりです(2026年9月時点)。

エディション 月額料金(1ユーザーあたり、税別) ノートブック数 ソース数 チャット回数 音声解説の生成数
Business Starter 800円 100 50 50 3
Business Standard 1,600円 500 300 500 20
Business Plus 2,500円 500 300 500 20
Enterprise Standard/Plus 要問い合わせ 500 300 500 20

料金は、Google Workspaceの公式料金ページに掲載されている通常価格です。
期間限定の割引や年間契約の割引が適用されると、実際の支払額は異なる場合があります。上限の単位は、個人のGoogleアカウントの表と同じです。

社内向けRAGとして使う場合は、ソース数とチャット回数が判断の目安になります。
Business Starterや無料の標準プランでは、1ノートブックに50ソースまで入れられるため、部署のマニュアルやプロジェクトの資料なら収まることが多いでしょう。

Business Standard以上では、ソース数が300、チャット回数が1日500回に増えます。
多くの社員が1日に何度も質問するような運用を想定しているなら、Business Standard以上も選択肢になります。

自社のエディションがわからない場合は、Google Workspaceの管理者に確認してください。

社内資料を入れるときのデータの扱い

社内の資料を入れる前に、アップロードしたデータがどのように扱われるかを確認しておきます。
公式ヘルプでは、アカウントの種類ごとに次のように説明されています。

  • Google WorkspaceやGoogle Workspace for Educationのアカウントでは、アップロードした資料や質問、回答が人間のレビュアーによって確認されることはなく、AIモデルのトレーニングにも使用されません。
  • 個人のGoogleアカウントでは、フィードバックを送信しない限り、データがGoogleの基盤モデルのトレーニングに直接使われることはありません。
  • 回答への評価などのフィードバックを送信すると、専門のトレーニングを受けたチームが内容を確認する場合があります。

業務の資料を扱うなら、会社が管理するGoogle Workspaceのアカウントで使うのが基本です。
あわせて、社内の生成AI利用ルールを確認し、外部サービスへのアップロードが認められている資料かどうかも確認してください。

Gemini NotebookとRAGは扱う資料の量と連携で使い分ける

Gemini Notebookは、アップロードした資料に基づいて回答するため、RAGと同じ考え方で使えます。

1つのノートブックに入る資料に収まり、使う人が部署やプロジェクト単位に限られる場合は、開発なしで社内向けのRAGとして活用可能です。

一方で、全社の大量の文書を横断して検索したい場合や、社内システムへの組み込み、利用者ごとの細かな権限管理が必要な場合は、自社でRAGを構築する方法が適しています。

まずは、よく問い合わせを受けるテーマの資料を1つのGemini Notebookにまとめ、実際の質問で回答の質を確かめてみましょう。

この記事の監修者

小杉 啓太

小杉 啓太

監修

株式会社みずかげ製作所 代表取締役

慶應義塾大学理工学部にてCNNによる画像分類を研究。エンジニアリング視点を持ったWebマーケターとして、SEO戦略立案から1,000本以上の記事校閲・編集まで幅広く経験。 ClaudeやCodexによる高度なWeb開発や、n8n・Google Workspace Studioを活用した最新の業務自動化ノウハウを武器に、IT・マーケティング分野の専門的で信頼性の高いコンテンツ監修を手掛ける。

専門領域 JDLA G検定 2020 #3

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